ネットフリックス2018年2Q決算を見て
(世界メディア市場動向)ネットフリックス2018年2Q決算より
(決算書より)
業績ハイライト
- 売上は四半期で39億ドル(前年同期比+40%)
- 営業利益4.6億ドル
- 有料会員は1.2億人(前Q末から+5.5百万人)
- うちUS 56百万人(前Q末から+0.9百万人)
- うちUS外 68百万人(前Q末から+4.6百万人)
- FCF▲5.6億ドル
- 営業CFのうちコンテンツ投資▲27億ドル
(以下、ネットフリックスの株主向けレターより)
評価と予測
- “We had a strong but not stellar Q2”
- 会員増は昨年の+4.7Mを上回ったが、当初予想+6.1Mを下回った
- 今年上半期を通じて、米国の純増数は昨年よりわずかに先行
- US以外では、市場の拡大により前年比で8%増加
- 3Qは、有料会員純増数を+5.2Mと予想
コンテンツ
- SFアクション新シリーズ「Lost in Space」を配信開始
- また、人気オリジナルシリーズのシーズン2を開始
- 13 Reasons Why
- Santa Clarita Diet
- Unfortunate Events
- Marvel’s Jessica Jones
- La Casa de Papel (Money Heist)
- GLOW
- Marvel’s Luke Cage.
- キッズ向けでは「Boss Baby:Back in Business」がヒット
- 引き続き、英語以外の動画制作を強化
- Q2では、ブラジル発SFの「3%」のシーズン2を公開
- デンマーク発のオリジナルスリラー「The Rain」を公開
- 2Q後半にはインドの新作である「Lust Stories」を公開し、インド外でもKPIが大変好調
- インドでは、インド初のオリジナルシリーズ「Sacred Games」も7月6日に発売され、同様に強いスタートを切っているほか、8月24日に「Ghoul」を公開予定
- エミー賞では全米ネットワーク中最多の112作品がノミネート
- テレビ映画、ドキュメンタリー、トークショー、コメディスに子供向けシリーズなど広範なジャンル
- 一緒に働いているクリエイターの成果
- 恋愛コメディが成功
- 「Set Up」
- 「The Kissing Booth」は、IMDbランキングでDeadpool 2、Avengers:Infinity WarとSoloについで4位につけた
- 上記2作品では、若手出演者のフォロワーが配信後4桁から6桁に増加、新たなスターを生んだ
- 名監督Michael Bayによる新作「Six Underground(主演Ryan Reynolds)」を制作することを発表
- ほかにもMartin Scorsese、Alfonso Cuaron、Susanne Bier、Paul Greengrass、Chris Columbusら多くのトップ監督がNetflixの次の長編映画を制作
製品とパートナーシップ
- 引き続きモバイル体験への投資を継続
- 新興市場で特に人気のある「オフラインモード」を使用しているメンバーのために、Androidの「スマートダウンロード」機能を公開
- パートナー向けのバンドル製品を拡充し、テレフォニカ社(スペインとラテンアメリカ)および日本のKDDI社との契約を発表
競合
- 以下に掲げる各企業はそれぞれ独自のコンテンツを持っており、視聴者を楽しませるために世界中の有力なクリエイターを見つけようと努力してる
→コンテンツの作成者や消費者にとってより良い時代はこれまでにない - YouTubeとNetflixは、世界的なインターネットエンターテインメントサービスの2つのグローバルな企業
- HBOとディズニーはインターネットエンターテインメントサービスを強化しつつある
- アマゾンとアップルは、より大きなエコシステムサブスクリプションの中でコンテンツにも投資している
- 今後はさらに業界の垣根を超えた競争の激化が予想される
- Fox / DisneyやFox / Comcast、そしてドイツのProSiebenやSaltoのような国際的なプレイヤー、AT&T / Warner Media連合など
財務
- 通年のFCFの予想を引き続き3〜40億ドルと予想
- コンテンツ現金支出が2018年後半に追加されるため
- 2Qには、債券により19億ドルを調達
- 2Q末の総負債残高は84億ドルであり、現金残高は39億ドル、未実行与信枠は5億ドル
所感
- 年間1兆円を超えるコンテンツ投資は日本のキー局の10倍以上
- しかも、非英語圏の国からもヒットを生み出そうと注力している
- (あくまでグローバル市場を対象としたものであることが求められる)
- 1.2億人の有料会員を抱える現在、成長の原動力は当然米国以外であるから当然
- ネットフリックスの海外作品が日本の視聴者にどこまでウケるかは未知数だが、「日本発グローバル」作品に与える影響は小さくないだろう
- 仮に1兆円超の制作費の1%が「日本発」の作品開発に充てられれば、100億円
- キー局の制作予算の10分の1程度だが、それがアニメやドラマ、バラエティなどのストック型のコンテンツに集中できることを考えると決して少なくない
- レターで名前が上がっている作品については、今後、別記事でまとめる予定
(池上)
※本稿は公開情報をまとめたものであり、「所感」部分は個人の感想です。記事を読んで行動した結果生じた如何なる損害に対しても責任を負いません。
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