チケットの転売問題、解決に向け大きく前進

音楽業界にとって重大な問題であるチケット転売問題だが、2018年あたりから明るい兆しが見え始めた。

右肩下がりの音楽市場だが、「ネットワーク配信」と「コンサート」は元気である。市場規模を2011年と2016年で比較すると、音楽配信は3.8倍(872億円)、コンサートは2.1倍(3,372億円)になっているのだ。特にコンサートは、音楽パッケージ(CD,DVD)の市場規模(3,372億円)を上回るほどの規模である。

そんな音楽コンサート市場が抱える大きな問題が、チケットの転売問題である。


音楽コンサート(ポップス)の動員数は、2007年から2016年の9年間で、1,682万人から3,446万人にまで倍増したが、逆に、会場数は減少した。開催が集中する首都圏において、10年で累計25,000席以上が減少した上、2016年に相次いだ大規模会場の改修によって、さらに65,000席が減少したのだ。つまり、ライブに行きたい人が増えたのにも関わらず、ライブの席は逆に減ってしまったのである。

しかし、チケットの「定価」は市場原理に従わず、安いままである。野菜であれば不作の年は高騰するが、チケットは、抽選に当たれば安値で買えてしまうのである。この構造が、転売屋を儲けさせる根本的な原因となっている。

ならばチケットをオークション制にすればいいのかというと、そうもいかないらしい。「転売NO」を謳う複数の音楽団体によると、彼らは、若い世代を含む多くの人に作品を届けるため、敢えて手頃な価格に設定しているのだそうだ。アーティストの想いや、文化育成の観点から、チケットの高額化自体を嫌っているようなのである。

そうであれば、対策は二つであろう。「本人認証」と「法整備」である。

買った本人しか入場できないのであれば、転売は機能しない。現在のところ、IDチェック、チケットの電子化、顔認証、などの対策があるようだが、コストとの兼ね合いで、完全な解決策にはなっていないようだ。

法整備に関しては進展があり、自民党のライブ・エンタテインメント議連(石破茂会長)が、2018年2月の国会提出を目指している。チケットを転売目的で入手することや、定価を超える価格で商売として販売することを禁じる法案で、取り締まりが困難だったネット上のダフ屋行為も規制対象にすることが柱となっている。IOCは、2020年の東京オリンピックを前に、チケットの転売対策を求めていた。

チケット転売サイトの最大手「チケットキャンプ」が2018年5月にサービス終了することが発表されたことも進展と言え、ポジティブなニュースが続いている。

作り手の商品が、意図された人々に適正な価格で届けられるようになることを願う。


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参考文献:参考文献:2017 ライブ・エンタテインメント白書

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