ゲームが違法コピーに悩むマンガ業界の救世主かもしれない理由

2017年にマンガ業界を賑わせた話題として、次の二つが挙げられる。

一つは、違法コピーの跋扈であり、もう一つは雑誌単位でのソーシャルゲーム化である。一見何の関係もないように見えるが、実はこの二つは密接な関連を持っている。


違法コピーの事例については、もはや巨大サイトとなった「漫画村」が筆頭に挙げられる。また、雑誌単位でのソーシャルゲーム化の具体例としては、相次いでサービス開始された集英社の「ジャンプ」と芳文社の「きらら」がある。


周知の通り、紙のマンガは今や衰退傾向にあり、逆にデジタルは大きな成長を続けている。2007年と2016年で比較すると、紙の市場規模は0.6倍に縮小し(2,963億円)、デジタルは5.6倍に拡大しているのだ(1,976億円)。早ければ2018年には紙とデジタルの市場規模が逆転すると言われている。

そして、これによって脅威を増すのが、違法コピー問題なのである。


全てのデジタルコンテンツは無料化する運命にある、という見方がある通り(クリス・アンダーソン,2009年)、デジタルとの親和性が高かった音楽や映画は、マンガより先にその問題に悩まされてきた。そして、定額制モデル、ライブイベント、などのコピー不能なマネタイズ方法を模索してきたのだ。そしてたどり着いた答えの一つが、「コンテンツ」ではなく「体験」をマネタイズするというものである。ライブイベントや絶叫上映などがその最たるものだ。


当然、マンガにおいてもその発想は有効であり、それこそが、マンガ雑誌のソーシャルゲーム化に注目すべき理由なのである。

ユーザーがソーシャルゲームで買い求めているものは、ただのデータではなく、サービス全体によって得られる「体験」である。そしてもちろん、これは違法コピーできない。

つまりマンガ雑誌のソーシャルゲーム化は、デジタル化に伴って影響を増す違法コピーに対抗しうる、マンガ業界による新たな進化の方向性としての可能性を秘めているのである。


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参考文献

全国出版協会・出版科学研究所,インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2017」

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